エネルギーは、仕事ができる能力
物体がほかの物体を動かしたり変形させたりする仕事をできる状態なら、エネルギーをもつといいます。小球が木片にした仕事を移動距離で比べるときは、木片や床面、衝突のしかたをそろえます。力の大きさだけでエネルギーを決めません。
何に、どのような仕事ができるか

STAGE 09 / PHYSICS / 中3
仕事・仕事率とエネルギーの保存・変換を、対象と条件から考える。
KEY POINTS
力と距離、変換の先まで見極めよう。
物体がほかの物体を動かしたり変形させたりする仕事をできる状態なら、エネルギーをもつといいます。小球が木片にした仕事を移動距離で比べるときは、木片や床面、衝突のしかたをそろえます。力の大きさだけでエネルギーを決めません。
何に、どのような仕事ができるか
同じ基準面からの高さなら、質量の大きい物体ほど重力による位置エネルギーが大きくなります。同じ物体なら高いほど大きくなります。運動エネルギーは、同じ速さなら質量が大きい方、同じ質量なら速い方が大きくなります。単なる速さの倍率からエネルギーの倍率を推測しません。
高さの基準と、比べない条件をそろえる
高さの影響を調べるなら、同じ小球を同じ基準から違う高さに置き、静止から離す条件や受ける木片・床面をそろえます。高さと質量を同時に変えると、どちらの影響か判断しにくくなります。
変える条件 / そろえる条件
一定の力でその力と同じ向きに物体を動かしたとき、その力の仕事は「力の大きさ×移動距離」です。Nとmで計算すると単位はJ(ジュール)になります。cmはmに直します。手の力と重力だけを受ける物体を、手で一定の速さで鉛直に上げる区間では、手の力は重力とつり合います。
どの力が、何にした仕事か
力を加えた位置が動かなければ、その力の仕事は0です。力と移動が直角の場合も、その力の向きには動いていないので仕事は0です。荷物を上向きに支えながら水平に運ぶ区間の仕事と、体内で使うエネルギーを区別します。
移動なし / 力と移動が直角
仕事率は、行った仕事をかかった時間で割った量で、単位はW(ワット)です。同じ仕事なら、短い時間で行う方が仕事率は大きくなります。時間が半分でも、仕事の量自体が半分になるわけではありません。
仕事率=仕事÷時間
摩擦や道具の重さ、ひもの重さ・伸びを無視できる理想条件では、同じ物体を同じ状態まで動かす仕事は、道具を使っても変わりません。動滑車一個を二本の鉛直なひも部分で支え、物体を一定の速さで上げると、ひもを引く力は物体に働く重力の半分、引く距離は物体の上昇距離の2倍です。定滑車一個は主に力の向きを変えます。長い斜面でも小さい力と長い距離の両方を考えます。
力が小さいことと、仕事が小さいことは別
重力による位置エネルギーと運動エネルギーの和が力学的エネルギーです。摩擦・空気抵抗などがなく、重力以外の力が仕事をしない条件では、その和は保存されます。振り子が下がると位置エネルギーが減り、運動エネルギーが増え、上がると逆になります。回転しない同じ物体を、接触を保って斜面上で滑らせる比較でも、この条件のもとで初めの高さ・速さと終点の高さが同じなら、終点での速さは同じです。途中でモーターなどから仕事を加える場合へ無条件に当てはめません。
位置+運動の和を、条件つきで見る
摩擦や空気抵抗がある現実の運動では、力学的エネルギーの一部が熱や音などへ変わります。物体の力学的エネルギーだけは減っても、床や周囲を含めた全体のエネルギーが消滅するわけではありません。
物体だけ / 周囲も含めた全体
モーターでは電気から運動へ、発電機では運動から電気へエネルギーが変わります。目的の出力を入力で割り、100を掛けた値が変換効率の百分率です。何を目的の出力とするかを先に決めます。目的に使わない熱などもエネルギーとして残り、効率が低いことを消滅と説明しません。
変換効率=目的の出力÷入力×100
金属棒の一端を加熱すると、棒のかたまりが端から端へ流れなくても、高温の部分から低温の部分へ熱が伝わります。このような伝わり方が伝導です。温度差に注目します。
金属棒を通して、高温から低温へ
温められた水や空気などの物質が移動して熱を運ぶのが対流です。熱だけが伝わる伝導との違いは、物質の流れを伴う点です。加熱している場所と、流れる物質を分けて確かめます。
物質の移動に伴って熱が運ばれる
太陽からの熱のように、空間を隔てて熱が伝わるのが放射です。間に固体がつながることや、水・空気が流れることを必要とせず、真空中でも伝わります。放射という熱の伝わり方を、放射性物質からの放射線と同じ意味にはしません。
伝導・対流・放射を、経路で区別
FOLLOW THE ENERGY
主体、向き、時間、変換の範囲を順に確かめよう。
どの力が、何に仕事をしたかを決める。
力の向きへの距離をmで確認し、仕事率は秒で割る。
質量、高さの基準、初めの速さ、摩擦をそろえる。
目的の出力と、熱・音などの出力を分ける。
WATCH OUT
力を加えた位置の移動と、力の向きを確かめます。
同じ荷物を同じ状態まで上げる仕事と、仕事率を区別します。
小さな力と、その分長くなる距離の両方を考えます。
物体以外の熱や音まで含め、変換先を確認します。
UNIT TEST / 単元テスト
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